膝痛の炎症を抑える治療「保存療法」

変形性膝関節症』の炎症は、 治療せずに放置しておくと症状を悪化させてしまいます。 それを防ぐためにも、自分の症状にあった適切な治療(保存療法)を受け、 ”炎症の悪循環”を防ぐことが大切です。

一般に、変形性膝関節症には「運動療法」が最も効果的といわれています。 しかし、痛みの原因である膝の炎症を放置すると、ますます症状が進行する”炎症の悪循環”が生じます。 それを食い止めるためには、炎症を抑える薬を使う「薬物療法」などを、運動療法と並行して行うことも大切です。 炎症を抑える治療法は、「保存療法」と「手術療法」に大きく分けられます。 保存療法には、「薬物療法」のほか、「温める、冷やす」「装具を使う」といった治療法があります。 症状に合わせて、治療法を選択したり組み合わせたりして、治療を進めます。
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膝痛の炎症を抑える治療「保存療法」

■@薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛薬の外用や内服

薬物療法の治療で最もよく使われているのが、非ステロイド性消炎鎮痛薬で、 炎症を抑える作用があり、症状を和らげることができます。 「外用薬」「内服薬」「座薬」があり、痛みの強さなどで使い分けられます。

▼外用薬
膝に痛みがある場合に、広く使われ、塗り薬や貼り薬などがあります。
▼内服薬

痛みが強いときの治療などに使われます。「胃腸障害」などの副作用が起こることがあるので、 服用中に「胃の痛みや不快感」などの症状が現れたら、すぐに担当医に相談しましょう。
▼座薬

痛みがかなり強い場合や膝が腫れている場合などの治療に用い、症状が治まってきたら外用薬に切り替えます。

このほか、痛みが非常に強いときには、炎症を抑える効果の高い「ステロイド薬」が、 短期間用いられることもあります。

●ヒアルロン酸の関節内注射

ヒアルロン酸は関節内軟骨や関節液に含まれる成分の1つです。ヒアルロン酸を膝関節内に直接注入することで、 「関節軟骨の表面を保護して炎症を抑える」「膝関節の動きを滑らかにする」「関節軟骨に栄養を与える」 といった効果があり、膝の痛みの改善が期待できます。 注射は1〜2週間に一度うち、それを3〜5回繰り返して効果を見るのですが、 早ければ1〜2日で効果が現れる人もいます。 多くは、膝の”水(関節液)”を抜く治療と同時に行われます。 この治療法は、初期のうちに始めると効果が高いのですが、ある程度進行した状態でも治療の効果は期待できます。
注意したいのは、注射後の感染です。注射でできた傷を不衛生な手で触ったりして、 細菌などが入らないように気をつけましょう。


■A温める、冷やす

血行を改善させることで痛みを和らげる

膝関節を温めたり冷やしたりすることで、血行が改善し、痛みの軽減につながります。

▼温める場合
変形膝関節症の場合、膝関節を温めるのが基本です。 ゆっくり入浴したり温めたタオルを膝に当てたりしてよく温め、血行をよくします。

▼冷やす場合
膝関節に腫れや熱があるときは、氷のうを当てたりして冷やします。 冷やしているときは血管が収縮していますが、冷やし終わったとき、一気に血管が拡張して血行がよくなります。
また、冷やした後、1時間以上経ってから温めるという、2つを組み合わせた方法もあります。

痛みの強さ 弱 ←→ 強
薬物療法 外用薬 内服薬 座薬
痛みのある場合の治療で行われる 痛みが強いときなどの治療で使われる 痛みや腫れが強く、胃が弱い人の治療で使われる
塗り薬と貼り薬があり、”日中は塗り薬、寝るときは貼り薬”といった形で使い分けることがある。 効果の強い薬を、膝の痛みが強いときに使用する。「胃腸障害」などの副作用があったら、担当医に相談する。 長期間使用せず、膝の痛みが治まってきたら外用薬に切り替える。
ヒアルロン酸の関節内注射 痛みの強さに関わらず幅広く使われる
初期の痛みや症状の弱いときの治療で行うと効果的。ただし、炎症を抑える働きもあるため、 膝の痛みの強さに関わらず幅広く行われる。
温める 変形性膝関節症の慢性的な痛みに対しては、基本的に温める治療を行う。 適温に温めたタオルを膝に当てる方法や、お風呂で温める方法などがある。 温めるときは、やけどに注意すること。
冷やす 膝に腫れや熱がある場合の治療で行われる。膝をタオルで覆い、その上に氷を入れた袋(氷のう) を置くなどして冷やす。冷やしすぎや凍傷に注意して行う。


■装具を使った治療

装具を使って膝への負担を減らす治療

装具を使うことで、膝関節への負担を減らしたり膝関節を温めたりすることができ、 それにより、膝関節の痛みを和らげ症状の進行を防ぐ効果があります。

●装具の種類と効果

▼足低版
足の外側が高くなっており、膝の内側にかかる力を外側に逃がして、膝関節への負担を軽減する装具です。 O脚があって膝の内側が痛む場合に、靴に入れたり、足に装着して用います。 外出の多い人は靴の中に入れるタイプ、家庭内で過ごすことが多い人は足に直接つけるタイプなど、 生活様式に応じて使い分けます。

▼サポーター
膝を保温することで血行をよくし、膝関節の周囲が硬くなるのを防ぎます。 生地の柔軟性などが異なる、さまざまなタイプがあり、 スポーツ用品店や薬局・薬店などで手軽に購入できるものも多いようです。
▼機能的膝装具(支柱付き装具)
プラスチックや金属などで作られた装具で、特殊なヒンジ(ちょうつがい)がついており、 足の部分に装着してO脚をX脚気味に矯正して膝関節を安定させたり、 膝関節が不安定で力が入りにくい場合に使われます。 整形外科の担当医に相談の上、患者の状態に合わせて作られ、 3つの装具の中で膝の負担を軽減する効果が最も高いのですが、装具が大きく、 取り外しづらいということがあります。テニスやゴルフなどのスポーツを楽しみたい人向きです。

これらの装具を使用したい場合は、整形外科の担当医と相談し、症状や生活様式などに応じて、 自分にあったものを選択してください。 装具をつけているときに痛い部位があるなど、何か気になる点があったら担当医に相談してください。 こうした装具以外に、杖を使うことでも膝への負担が軽くなり、膝関節の痛みを軽減できます。


■日常生活での工夫

日常動作でも、できるだけ膝への負担を軽くする工夫が必要です。

▼和式よりも洋式の生活に
正座や床からの立ち上がりなど、和式の生活は洋式の生活よりも膝への負担が大きいので、 可能であれば、ベッド、椅子、洋式トイレなどを取り入れましょう。

▼肥満のある人は減量
体重が重いと、その分膝への負担も大きくなるので、肥満のある人は食生活や運動習慣を見直して減量しましょう。

▼重いものは持たない
重いものを持つと、その重さの分だけ体重が増えるのと同じことになるので、荷物はできるだけ軽くしましょう。

▼かかとが高く、底の硬い靴は避ける
かかとが高い靴や底の硬い靴は、膝に負担がかかるので、かかとが低く膝への衝撃を和らげるために 靴底にクッション性のあるものを履きましょう。

▼杖や歩行器を使う
杖や歩行器を使うのを恥ずかしがる人も多いのですが、膝への負担を軽減するには効果的です。 膝が痛むときは、恥ずかしがらずに利用しましょう。