膝痛

「関節」は骨と骨が接しているのですが、直接触れ合っているのではなく、骨の端を「軟骨」という組織が覆っています。 軟骨は骨とはだいぶ異なる性質を持っていて、弾力性があり、表面は骨より滑らかです。 関節全体は「関節包」という袋に包まれていて、関節包の内側は「滑膜」という膜で覆われており、 滑膜からは関節液が分泌され、関節内を満たしています。 関節液は粘り気のある液体で、関節の潤滑油であると同時に、軟骨に栄養を供給するという重要な役割を持っており、 通常は軟骨と関節液が健康であれば、関節は滑らかに動きます。

しかし残念ながら、関節液は加齢とともに粘り気がなくなり、潤滑油としての働きが悪くなります。 軟骨も柔軟性を失っていくため、関節は滑らかに動きにくくなるのです。 そこに肥満や運動不足による筋肉の衰えといった要素が加わると関節の負担が大きくなり、 また、筋肉のバランスが崩れると、関節液の循環にも影響を与えます。 このように「加齢」「肥満」「運動不足」などが、『関節痛』を起こす大きな要因になっているのです。
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膝痛

■中高年の膝の痛み

多くは変形性膝関節症が原因。関節軟骨がすり減って起こる。

膝に痛みを持つ人は大変多く、膝が慢性的に痛む原因の多くは、関節軟骨や半月版がすり減って起こる「変形性膝関節症」だといわれています。 日本では変形膝関節症のある人が予備軍も含めて、男性860万人、女性1670万人、合計2530万人いるといわれています。 特に中高年に多く、50歳以上では2人に1人が変形性膝関節症と推計されています。

健康な膝は、大腿骨と脛骨の間に十分な厚みの軟骨半月板があり、これらがクッションとなって、膝にかかる衝撃を吸収しています。 変形性膝関節症になると、クッションの役割を果たしている軟骨がすり減り、 そのかけらが関節包の内側にある「滑膜」を刺激すると、滑膜が炎症を起こし痛みが生じます。 その炎症によって正常な軟骨細胞も悪影響を受け、ますます関節軟骨がすり減るという「炎症の悪循環」が起こるのです。

「動き始めに膝が痛い」「膝が痛くて正座がつらい」という状態が慢性的に続いている場合は、この変形膝関節症の可能性があります。 進行すると、骨と骨の間が狭くなって膝の曲げ伸ばしがしにくくなったり、痛みも強くなったりします。 さらに重度になると、骨と骨が直接ぶつかって強い痛みが生じ、とげのような骨・骨棘ができることもあります。

膝関節も、体の他の部位同様加齢に伴って老化します。 関節の軟骨が磨り減ったり、関節が硬くなったり、熱を持って腫れるなどなどの障害が起きやすくなり、膝に複雑な痛みが生じてきます。 加齢による膝関節の痛みは、特に女性に多く見られます。 痛みが強くならないと、つい放置しがちですが、多くの場合、加齢と共に少しずつ進行し、症状が悪化していきます。 したがって、痛みの程度に関わらず、一度は整形外科を受診して、正確な診断を受けておくことが大切です。


■膝関節の仕組み

膝は、太ももにある「大腿骨」と脛にある「脛骨」、”膝のお皿”と呼ばれる「膝蓋骨」 が組み合わさってできた関節です。体中で最も大きな関節で、大変複雑な仕組みをしています。 大腿骨と脛骨の端の表面は、骨どうしが直接ぶつからないよう、「関節軟骨」と呼ばれる弾力性のある組織で覆われており、 膝の動きを滑らかにします。大腿骨と脛骨の間には「半月版」と呼ばれる線維性の軟骨があります。 これらの軟骨は、膝にかかる衝撃を吸収するクッションの役割や、関節が滑らかに動くための大切な役割を果たしています。

膝関節は「関節包」という袋に包まれ、内部は「関節液」という液体で満たされており、 膝関節がスムーズに動くよう潤滑油の役割を果たしたり、関節軟骨に酸素や栄養を供給しています。 膝関節の中央や周囲には、骨と骨をつなぐ「靭帯」や筋肉があり、膝を安定させています。 特に、太ももの前側の「大体四頭筋」などの筋肉や、骨と筋肉をつなぐ「腱」、膝蓋骨は、膝を曲げ伸ばしする動きを 調整しており、2本足で歩くために欠かせない大切な仕組みです。 この複雑な仕組みのどこかが障害されると、膝に痛みを感じるようになります。


■膝の痛みのタイプ

膝の痛みは、膝関節の中や関節周囲の組織に起こり、次の4つのタイプに分けることができます。

▼使いすぎによる痛み
検査では軟骨などに異常は見られないのに、比較的強い痛みが起こるタイプです。 特に動き始めや疲労時に強く痛みます。スポーツ選手などによく見られるもので、膝関節に大きな負担がかかり、 それをかばうために関節周囲の筋肉や腱、靭帯などが疲労して、痛みが生じると考えられます。

▼急性の炎症による痛み
変形性膝関節症の始まりの1つのタイプです。膝関節を長年使い続けたり、激しく使ったりすると、 関節軟骨が磨り減ってきます。磨り減るときに剥がれた軟骨の破片が、関節包の内側を覆っている「滑膜」を刺激すると、 関節内に炎症が起きて、急に痛みが生じます。 炎症が強いと、熱を持ち、関節液が異常に分泌されて、”水がたまる”という状態になります。

▼慢性の炎症による痛み
エックス線画像で見ると、多くは主に関節軟骨が磨り減っており、痛みが慢性的に起こります。 中高年の膝の痛みで、最も多いタイプです。 剥がれた関節軟骨の破片などが原因で関節内で弱い炎症を繰り返すと、関節包など膝関節周囲の組織が硬くなったり、 痛みをかばって動くようになります。すると、膝関節周囲に片寄って負担がかかり、 疲労が積み重なって痛みが起こります。

▼骨の痛み
軟骨がかなり磨り減ってくると、骨どうしが直接ぶつかるようになります。 関節軟骨には痛みを感じる神経がありませんが、骨にはあるため、じっとしていても、動いているときも、 鈍く強い痛みが続きます。

痛みが起こる場所は、膝の前方、内側、外側、裏側など、人によってさまざまです。また、同じ変形膝関節症でも、 急性から慢性、骨への痛みと、段階を追って進行するとは限りません。膝に痛みがあれば、症状を確認して今後の対策を 立てるためにも、一度整形外科を受診しましょう。


■変形性膝関節症以外の膝の痛み

膝の使い過ぎや全身の病気が原因の場合もある

膝の痛みの原因は、変形膝関節症だけではありません。腸脛靭帯炎に代表されるスポーツによる痛みの他、 全身の病気が原因で起こる場合もあります。

▼腸脛靭帯炎
腸脛靭帯は、太ももの外側を覆う長い靭帯で、膝の外側が安定するのを助けています。 この靭帯に炎症が起こる腸脛靭帯炎は、別名ランナー膝ともいい、ランニングをする人に多く見られます。 がに股のフォームや、脚の外側に体重をかける癖があると、膝を曲げ伸ばしするときに、 膝の骨の出っ張りに何度も強くこすれて腸脛靭帯に炎症が起きやすくなります。 ランニング以外では、登山やスキー、エアロビクスなどでも起こることがあります。

関節リウマチ
関節リウマチは、自己免疫の異常が原因となって、全身の関節に異常が起こる病気です。 膝以外に、手首や手足の指などの小さい関節にも症状が出やすいのが特徴で、朝起きてしばらくは関節を動かしにくい”朝のこわばり”があります。 痛む関節を触ると軟らかく腫れていて、熱を持っています。

痛風、偽痛風
痛風は、関節の中に結晶が溜まることが原因で、多くの場合、脚の親指の付け根などが腫れ、痛風発作と呼ばれる激痛が起こります。 偽痛風は、ピロリン酸カルシウムの結晶が溜まることが原因です。膝に水が溜まって痛んだり、発熱などの全身症状を伴ったりします。

これらの膝の痛みは、原因によって治療法が異なります。膝に痛みがある場合、まずは、整形外科などを受診し、痛みの原因を調べてもらうことが大切です。